この時期、依頼あった採用基準設計(新卒)をたくさん行います。もちろん職種・業種によって千差万別、さらに企業の「イズム」によっても大きく異なるものです。人材難の今だからこそ見極めの精度は求められると思います。コミュニケーション力や素直さというのも大事ですが、「どのような場面でそれが発揮されるのか」も十分に測る必要があります。また、積極性や協調性だけではスピードと質が求められる現代にはまだ不十分で、もう一段深度を深めたところを求めていくことになるのですが・・

 

 

 

関与先、新人に照らしてみます。まず中途の方。

 

端的にいうと、「これまでの土台(コンピテンシー)はあるけれども、新しい組織フィールドのルール・価値観にどれだけ融合することができるか」に尽きます。私も中途入社の経験がありますが、仕事で成果を上げていかないと存在が危うくなります。その成果基準とは採用した側の求める範疇にあり、まずはそこを理解しないといけません。単に営業ならば個人の成果創出力であり、管理職候補ならプラスチーム成果創出力になるでしょう。

 

しかしながら、辞めたはずの「前の会社はこうだった」のようなことが入社早々出てきてしまい、目の前のことに適応していくための柔軟さがなかなか発揮されないことを何度も見ました。傍から見るとこんなに簡単なことなのにと思うこともできない。

 

まず優先すべきはルール・価値観の理解であり、その枠組みの中で成果創出をしていくこと。すでにいる「先輩」から指示されないことには何も始まりません。コンピテンシーを活かして一目置かれる必要があります。もちろんマイナス言動はもってのほか。その立場になってから改善提案をしていっても遅くはないのです。

 

そういった意味で、「役割認識する力」は新規学卒よりも問われるコンピテンシーかと思います。次に新卒の方。

 

 

 

確か、私の同期も新卒の頃こういう人が多かったなあと回想します。

 

「将来どうなるかわからない」「この仕事を続けてどうなるのか」

 

ちなみに私は新人の頃、そう思ったことがありませんでした。なぜなら仕事して生活してどうせなら使われるより使う側になろう、と考えていたからです。そのためには今目の前にある目標数字を達成しなければならないし、登用申請を上司にしてもらう素行が必要でした。だからそれにまい進する、イコール仕事と信じて疑わなかったのです。でもそう考えることができたのは、学生時代に死ぬほど貧乏していたから“それが嫌だ”という生活背景と、必然的に“お金が無ければ自分で稼ぐしかない”と習慣づいていたからだと思います。そう、望んだわけでは無いですがバックボーンが特殊なのです。

 

 

 

新卒採用も大手志向や安定第一が目立ちますが、好景気を見たこともない世代ですから無理もない。親御さんもこどもの苦労など望まないのが自然でしょう。面談していると冒頭のように、特に給料が滞っているわけでも、仕事で伸び悩んでいるわけでもないのに、先行き不安だけが先行する若者の多いこと。共通して言えるのは「ビジョンがない」ゆえに「特段何もしていない流されるような日常」に溺れてしまっているような状況。「休み?寝てます。」「お金?携帯ゲームくらいですかね。」「欲しいもの?ないです。」ウーム、こんな毎日では確かに先が見えてこない。

 

 

 

無謀でも、他人にバカにされても、言うのが憚られるような小さなビジョンでも、自分の人生には自分で旗を立てて進んでいかないと。もちろんその旗までは大抵、たどり着くのをあきらめさせるようなトラップがいっぱいあるもの。でも、他力主導の環境や状況が自分を創ってくれるわけではない。自分で何ものかにならくちゃ。

 

結論なのですが、我々「かつてその若者」だった世代が、懸命にコトに向き合いながら、スタイリッシュでなくても活き活きと「こうなりたいんだ!」と語り続けることは、とても重要なのではないかなと思っている次第です。職務として経営者から入社すぐの方まで月間40人程度面談していますが、目的あるところに努力はあるのだと確信します。輝く人になるには、目的・目標といった自分のための負荷が必要なのです。